1. 市場規模
価格動向
2025年9月時点の首都圏における新築戸建てての平均登録価格は4,831万円で、前年同月比+5.6%と13ヶ月連続で上昇しています。特に、東京23区、都下、横浜市・川崎市などの主要エリアでは価格上昇が顕著で、2017年1月以降の最高額を更新し続けています。
2024年の首都圏新築分譲一戸建てての平均購入価格は4,844万円と、調査開始以降で最高額を記録しました。中古戸建て市場では、2025年9月の首都圏平均価格が4,018万円(前月比-1.6%)である一方、東京23区は大きく上昇しています。東京都全体の中古一戸建てての平均掲載価格は6,138万円(前年同月比+115.7%)と、中古マンションに比べて安定的に推移しているものの、高水準を維持しています。
供給戸数
新築の供給は減少傾向にあります。2024年の首都圏における新築一戸建てての分譲戸数は52,727戸で、前年比-4.1%と減少に転じました。一方で、東京都のみ+0.3%の16,271戸と微増しています。2025年に入っても供給減の傾向は続いており、例えば、2025年3月の首都圏の供給棟数は368棟で、前年同月比-29.8%と大幅な減少を見せています。
対照的に、中古戸建てての流通は活発です。2024年の首都圏における中古戸建てての流通戸数は32,037戸で、前年比+4.2%と増加しました。新築価格の高騰を背景に、中古市場への需要シフトが供給を後押ししています。
2. 過去からのビジネスの遷移
都内戸建て市場は、新築中心の市場から、中古住宅の流通とリノベーションが重要な役割を担うストック活用型市場へと大きくシフトしています。
新築神話から脱却
かつては「新築神話」が根強く、住宅取得の選択肢は新築注文住宅か建売住宅が主流でした。しかし、長引く経済の停滞、都心部における用地取得の困難化、そして建築費の高騰により、新築戸建てての価格は上昇を続け、一般の消費者にとって手の届きにくい存在となりつつあります。
中古住宅市場の活性化
この状況が、中古住宅市場の活性化を促しました。特に2010年代以降、リノベーションという考え方が一般に浸透し、「中古を買って、自分好みに改装する」という新しい住まいの選択肢が定着しました。これにより、築年数が経過した物件でも、立地や建物のポテンシャルが再評価され、資産価値を維持・向上させることが可能になりました。
買取再販事業の拡大
近年では、買取再販事業が市場で大きな存在感を示しています。不動産会社が中古物件を買い取り、リノベーションを施して付加価値を高めた上で再販売するこのビジネスモデルは、2022年には全国で41,000戸の市場規模に達しており、2030年には50,000戸に拡大すると予測されています。
3. 最新の動向
全体動向:価格上昇と需要の二極化
資材価格や人件費の高騰を背景に、新築・中古を問わず戸建て価格は上昇基調が続いています。都心部では富裕層やパワーカップルによる需要が堅調で、高級リノベーション物件なども市場を牽引しています。
一方で、テレワークの普及により、都心へのアクセスを保ちつつも、より広く手ごろな価格の物件を求めて郊外エリアを選択する動きも活発化しており、需要の二極化が進んでいます。
キーワード:買取再販市場
中古物件を買い取り、リノベーション後に再販売するビジネスモデルが成長市場として注目されています。新築価格高騰を背景に、都内でも活況を呈しており、品質への安心感から人気が高くなっています。
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